数学 / Analysis

岐阜大学の二次関数・絶対値――候補が入れ替わる境界を先に作る

この分野で本当に問われていること

二次関数・絶対値では、平方完成そのものより、最大・最小の候補がパラメータによっていつ入れ替わるかを管理する力が問われる。

場合分けの境界は、思いつきで増やすものではない。次の二種類から作る。

  1. 頂点や零点が指定区間へ出入りする値
  2. 二つの候補値の大小が入れ替わる値

この二つを先に求めれば、場合分けを漏れなく、かつ必要最小限にできる。

誘導の設計図を読む

2022年度第5問――最大・最小を先に分け、絶対値へ再利用する

二次関数 f(x)f(x) について、パラメータの範囲を二つに分けて最大値・最小値とその位置を求め、その後に f(x)|f(x)| の最大値、さらに別の絶対値関数の最大値へ進む。

前半で最大値・最小値を求めるのは、後半の f|f| を最初から場合分けしないためである。

maxf(x)=max{maxf(x),minf(x)}\max |f(x)|=\max\{\max f(x),-\min f(x)\}

と候補を二つへ絞り、その大小が等しくなるパラメータを新しい境界にする。

第1問で別関数の微分を求めさせる部分も、最終問の一変数最大化で使う道具になっている。見慣れない準備問題が挟まれたら、最終式の一部を先に処理させていないかを見る。

2015年度第2問――最小値から係数、零点から絶対値の折れ目を作る

最小値条件から係数をパラメータで表し、次に零点を求め、最後に区間上の f(x)|f(x)| の最小値を求める。

零点を先に問うのは、絶対値のグラフがどこで折り返すかを確定するためである。最終問で改めて f|f| を場合分けするのではなく、前問の零点と頂点を候補点として使う。

2009年度第3問――候補値の比較がパラメータ場合分けを作る

f(x)=xx2af(x)=x|x-2a|

の区間最大値では、絶対値の折れ目 x=2ax=2a、区間端点、絶対値を外した後の二次関数の頂点が候補になる。

場合分けは aa の符号だけでは決まらない。折れ目と頂点が区間内に入る境界を求め、さらに候補値同士が等しくなる aa を求める。最大値を与える点が切り替わるのは、その等式の場所である。

実戦的な候補管理

第1段階: 候補点を列挙する

  • 区間の両端
  • 二次関数の頂点
  • 絶対値の中身の零点
  • 場合分け後の各式の頂点

第2段階: 候補点が区間内にある条件を求める

頂点や零点の座標をパラメータで表し、指定区間へ入る条件を解く。この値が最初の境界になる。

第3段階: 候補値の交代点を求める

残った候補値をパラメータの式にし、等しい値を取る境界を求める。この値を境に最大・最小を与える点が変わる。

第4段階: 境界で式がつながるか確認する

隣り合う場合の答えが境界で一致するかを確認する。場合分けの検算として有効である。

問題の特徴から解法候補を絞る

特徴最初の判断後半での用途
区間付き二次関数頂点が区間内か最大・最小候補
$f(x)$ の最大
$f(x)$ の最小
パラメータ付き絶対値折れ目が区間へ入る値場合分け境界
前半で零点を問う絶対値を外す境界の準備後半の候補点
最後に最大値の最小化前問の最大値をパラメータ関数と見る候補式の交点

よくある遠回り

  • 最初からパラメータの細かい場合分けを始める。
  • 頂点が区間外でも候補に残す。
  • f|f| の最大を、ff の最大値だけで決める。
  • 零点を求めた前問を使わず、絶対値を一から外す。
  • 候補点の出入りと候補値の交代を同じ境界として扱う。
  • 場合分けの境界で答えが一致するか確認しない。

詰まったときの戻り先

グラフを細かく描く前に、「候補点の一覧」「候補点が区間内にある条件」「候補値が等しくなる条件」の三列を作る。場合分けはこの表から機械的に生成する。

演習で確認する観点

  • 場合分けの各境界が何を意味するか説明できるか。
  • 前半の最大・最小・零点を後半の絶対値へ再利用したか。
  • 候補点の出入りと候補値の交代を区別したか。
  • 境界で隣の式と一致するか確認したか。
  • 最大値を与える点まで答え、候補の根拠を示したか。
出典・確認資料
  1. 岐阜大学数学過去問分析(2008~2025年度)提供資料に基づくオリジナル解説。過去問本文は転載していません。
掲載方法:公式情報へのリンクのみ

過去問本文や画像は掲載せず、必要な場合は大学等の公式ページへ案内します。

引用・図版の基準を見る