数学 / Analysis

岐阜大学の三角関数――代数化した後の「角への戻し方」で差がつく

この分野で本当に問われていること

岐阜大学の三角関数では、公式変形そのものより、三角式を代数方程式へ落とした後に、値域・周期・指定区間を使って角の解へ正確に戻す力が問われる。

設問の前半は「どの変数へ代数化するか」を示し、後半は「代数方程式の根と角の解の個数は同じではない」ことを確認する構成が多い。

誘導の設計図を読む

2019年度第4問――実根の個数と角の個数を分ける

三角式を cosx\cos x の三次式へ直し、まず代数方程式の根を調べ、最後に元の xx の解の個数へ戻す。

ここで必要な判断は二段階である。

  1. 三次式の根が [1,1][-1,1] に何個あるかを調べる。
  2. 各根 tt に対し、指定区間内で cosx=t\cos x=t が何個の解を持つか数える。

三次方程式の実根数だけを答えにしてはいけない。区間ごとの符号変化や単調性で tt の候補を確定し、その後に余弦の周期・対称性で角へ戻る。

最終問が「解の個数」なら、三角式の変形は入口にすぎず、主題は二段階の個数管理である。

2020年度第3問――一般解の二系列を後半で使う

sinu=sinv\sin u=\sin v を解く小問では、

u=v+2kπ,u=πv+2kπu=v+2k\pi,\qquad u=\pi-v+2k\pi

の二系列を両方残す。次の小問で指定区間へ入る整数 kk を選ぶためである。

序盤で一般解を簡略化しすぎると、後半の区間条件で解を落とす。一般解を求める小問は「答えを出す」より、「後半で整数条件を掛ける二つの枝を作る」役割を持つ。

2016年度第3問――区間条件は安全に割るためにある

最初から

π2<θ<π2-\frac{\pi}{2}<\theta<\frac{\pi}{2}

が指定されている。この条件から cosθ>0\cos\theta>0 が分かるため、式変形の途中で cosθ\cos\theta を割ってよい。

後半では整数パラメータが加わる。三倍角公式で cos3θ\cos3\thetacosθ\cos\theta の多項式へ直し、値域 0<cosθ10<\cos\theta\le1 と整数条件を組み合わせて候補を絞る。

区間条件は最後に解を選ぶためだけではなく、前半の式変形を正当化する条件でもある。

2015年度第5問――前半の恒等式が共有点数の判定式になる

前半で tan3x\tan3xt=tanxt=\tan x の有理式へ直し、後半で y=ctanxy=c\tan xy=tan3xy=\tan3x の共有点数を求める。

共有点問題になったら、図を別々に描く前に、前半の式へ t=tanxt=\tan x を代入して代数方程式へする。零解と非零解を分け、分母が0になる値と指定区間を確認する。

第1問の公式導出は、後半の共有点条件を一変数化するための道具である。

問題の特徴から解法候補を絞る

問題の特徴最初の判断落としてはいけない確認
sinu=sinv\sin u=\sin v一般解を二系列で書く指定区間、重複
三角式の解の個数t=sinx,cosxt=\sin x,\cos x で代数化tt の値域、角への戻し
三倍角と整数条件多項式化して値域と照合割った因子が0の場合
共有点数前問の恒等式で一変数化分母0、区間、零解
最大・最小sin2x,cos2x\sin2x,\cos2x の一次結合へまとめる振幅と等号成立角
正多角形内接・外接で上下から挟む面積不等式の向き

誘導に乗るための実戦手順

  1. 前半で統一された三角関数が sin,cos,tan\sin,\cos,\tan のどれか確認する。
  2. 置換後の変数の値域を式の横に書く。
  3. 代数方程式の根を確定する。
  4. 一つの根から指定区間内に何個の角が戻るか数える。
  5. 区間の端点や周期端で重複しないか確認する。

よくある遠回り

  • 三角方程式を見てすぐ特殊角を探す。
  • sinu=sinv\sin u=\sin v の一系列だけを書く。
  • sinx,cosx\sin x,\cos x で割る前に0の場合を確認しない。
  • 代数方程式の実根数を、そのまま角の解の個数とする。
  • 前半で導いた三倍角公式を使わず、後半で再導出する。
  • 指定区間を最後だけに使い、途中の符号判定へ利用しない。

詰まったときの戻り先

「式をどう変形するか」ではなく、「どの三角関数一種類へ統一すれば、後半の問いが代数化できるか」を考える。解の個数で詰まったら、代数根の個数と角の個数を別々に数え直す。

演習で確認する観点

  • 前半の恒等式が後半のどの方程式になったか。
  • 指定区間が式変形のどこを正当化したか。
  • 置換後の値域を根の選別に使ったか。
  • 一つの代数根から何個の角が生じるか説明できるか。
  • 端点と周期による重複を確認したか。
出典・確認資料
  1. 岐阜大学数学過去問分析(2008~2025年度)提供資料に基づくオリジナル解説。過去問本文は転載していません。
掲載方法:公式情報へのリンクのみ

過去問本文や画像は掲載せず、必要な場合は大学等の公式ページへ案内します。

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