英語 / Analysis
第4回 岐阜大学英語の誤答候補はどう作られているか
現行形式では、Sections 1~4の40問が空所補充です。したがって、最初に見るべきなのは候補の内容が正しそうかではなく、空所へ文法的・論理的に接続できるかです。
誤答候補は、空所の左側だけにはつながる、意味は近いが述語が余る、段落の話題には合うが原因と結果が逆、といった小さなずれで作られます。
この記事では、まず空所候補としての構造的なずれを整理し、その後で主体、因果、程度、条件など、意味上のずれを9種類に分類します。
現行空所で先に見る6種類のずれ
| 誤答候補の型 | 何が合わないか | 確認方法 |
|---|---|---|
| 幅違い | 単語が必要な位置に節、節が必要な位置に名詞句 | 空所外の主語・述語を確認 |
| 左だけ接続 | 直前には続くが直後へ続かない | 候補末尾+空所直後を音読 |
| 述語の過不足 | 定形動詞が余る、または文の述語がない | 主語と定形動詞を数える |
| 接続語の不一致 | 接続詞の後ろに必要な形がない | 後ろが完全な節か名詞句か確認 |
| 指示先なし | 代名詞・指示語が受ける内容がない | 候補の前へ指示先を戻す |
| 役割違い | 結果の位置に原因、例の位置にまとめ | 前後一文の役割を一語にする |
消去の順番は、幅→左端→右端→述語→段落の役割です。意味を細かく訳すのは、これで二択が残った場合だけにします。
「左右どちらかだけ合う」を狙う
長い候補では、正答と誤答が同じ話題を扱うことがあります。その場合でも、候補の両端まで同時に自然になるのは一つです。
空所の直前|候補の先頭 … 候補の末尾|空所の直後
練習では二本の境界線を引き、左右を別々に確認します。「意味が合うから入る」ではなく、「二つの境界を通過したから残る」と判断します。
意味上の誤答分析の基本
構造上入る候補が複数残ったら、次の6要素に分けます。
| 要素 | 確認する質問 |
|---|---|
| 主体 | 誰・何について述べているか |
| 行為・状態 | 何をした、どうなったか |
| 対象 | 誰・何に対する行為か |
| 時間・比較 | いつか、何と比べているか |
| 程度・数量 | 一部か全部か、可能性か断定か |
| 条件・因果 | どの条件で、何が原因・結果か |
本文の単語が多く含まれる候補でも、このうち一つが違えば誤答になります。以下の9種類は、現行の長い空所候補だけでなく、2016~2024年度の内容照合・要約問題にも使えます。
1.範囲・程度を変える
最も注意したいのは、本文よりも選択肢の断定を強くする誤答です。
本文で使われやすい慎重な表現
- some
- many
- often
- tend to
- may
- might
- could
- be likely to
- suggest
- indicate
誤答で起きる変化
- some → all
- often → always
- may → must
- likely → certain
- suggest → prove
- one factor → the only factor
見抜く方法
選択肢中のall、always、never、only、completely、mustなどに印を付けます。本文にも同じ強さの表現があるか確認します。
本文が「可能性」を述べているだけなら、「証明された」「必ず起きる」とする選択肢は強すぎます。
2.主体を入れ替える
研究記事には、研究者、参加者、大学、企業、政府、地域住民など複数の主体が登場します。
典型的な入れ替え
- 研究者が観察した行動を、参加者が意図的に行ったことにする
- 大学の方針を、学生個人の希望にする
- 一方の研究チームの結果を、別の研究者の結果にする
- 政府の提案を、科学者の結論にする
見抜く方法
本文の人名・組織名に印を付け、「誰が何をしたか」を短くメモします。
内容だけが近くても、行為者が違えば正答にはなりません。
3.原因と結果を逆にする
因果関係は、生命科学、健康、教育、環境の記事で特に重要です。
典型的な変化
- A led to B → B caused A
- B resulted from A → A resulted from B
- 原因として挙げたものを、結果として扱う
- 対策を問題の原因にする
文法上の注意
- A leads to B:AがBにつながる
- B results from A:BがAから生じる
- A results in B:AがBという結果になる
- B is caused by A:BはAによって引き起こされる
表現が変わっても因果の方向が同じ場合は、正しい言い換えです。単語だけでなく矢印の向きを確認します。
4.相関を因果へ変える
本文が「二つの事柄に関連がある」と述べただけなのに、選択肢で「一方が他方を引き起こした」とする誤答です。
本文で相関を示す表現
- be associated with
- be linked to
- correlate with
- occur together
- show a relationship
これらは、それだけでは原因を証明しません。
見抜く方法
研究が実験なのか観察調査なのかを確認します。本文が原因を断定していない場合、cause、determine、directly produceなどを使う選択肢は注意が必要です。
5.条件を削除・追加する
研究結果には、対象、年齢、地域、期間、環境などの条件が付いていることがあります。
条件を削る誤答
本文:
- 特定の年齢層で確認された
- 一つの地域で調査された
- 短期間の研究だった
- 一定の条件下で効果があった
誤答:
- すべての人に当てはまる
- 世界中で確認された
- 長期的効果が証明された
- 条件に関係なく効果がある
条件を追加する誤答
本文にない年齢、目的、方法などを選択肢が勝手に加える場合もあります。
見抜く方法
if、when、among、in、during、underなど、条件や範囲を示す表現を本文と選択肢の両方で確認します。
6.時間・順序・比較を逆にする
時間のずれ
- 研究前と研究後
- 過去と現在
- 短期と長期
- 子ども時代と成人後
比較のずれ
- 実験群と対照群
- 若者と高齢者
- 都市部と地方
- 従来の方法と新しい方法
- 増加と減少
見抜く方法
than、compared with、before、after、previously、currently、increase、decreaseなどに印を付けます。
「Aの方がBより多い」と「Bの方がAより少ない」は同じ内容ですが、比較対象が入れ替わっていないか注意します。
7.評価・立場を反転する
本文が慎重に利点と問題点を併記しているのに、選択肢が全面的な賛成・反対へ変えることがあります。
典型的な変化
- 利点がある → 問題がない
- 懸念がある → 実施すべきでないと断定
- 追加研究が必要 → 現在の研究は無価値
- 一つの解決策になり得る → 唯一の解決策である
見抜く方法
however、but、although、while、on the other handなどの後を確認します。筆者の最終的な立場は、利点だけでも欠点だけでもないことがあります。
8.本文外の常識を加える
選択肢が一般常識として自然でも、本文に書かれていなければ内容一致の正答にはできません。
引っ掛かりやすい例
- 健康に良さそうだから正しい
- 環境保護につながりそうだから正しい
- 有名な研究結果と一致するから正しい
- 自分の経験に合うから正しい
見抜く方法
「正しそうか」ではなく、「本文のどの文が根拠か」を問います。根拠箇所を示せない選択肢は保留します。
推論問題でも、本文の複数の事実から無理なく導ける必要があります。
9.前半だけ一致させる
選択肢の前半に本文と同じ内容を置き、後半で誤った理由・結果・評価を付ける方法です。
構造
本文と一致する内容 + but / because / so / which 以降の誤情報
見抜く方法
長い選択肢は、節ごとに区切ります。一つ目の節が正しくても、全体が正しいとは限りません。
特にbecause、therefore、so that、which means thatなどの後ろを確認します。
誤答の種類を一覧で確認する
| 誤答の仕組み | 本文から変えられるもの | 確認の中心 |
|---|---|---|
| 程度変更 | 一部→全部、可能性→断定 | 数量・助動詞・副詞 |
| 主体変更 | 研究者→参加者など | 主語・固有名詞 |
| 因果逆転 | 原因と結果 | lead to / result from |
| 相関の因果化 | 関連→原因 | 研究方法・慎重表現 |
| 条件変更 | 対象・地域・期間 | if / among / during |
| 時間・比較逆転 | 前後、大小、集団 | than / before / after |
| 評価反転 | 賛成・懸念・限定 | 逆接後の内容 |
| 本文外情報 | 常識・推測 | 根拠文の有無 |
| 部分一致 | 選択肢の後半 | 接続詞以降 |
意味まで残った候補を消す順番
文法と接続で候補を削った後は、次の順番で確認すると効率的です。
- 空所が原因・結果・例・対比など、どの役割かを決める。
- 主体・対象が違う候補を消す。
- all、always、onlyなど、本文より強い候補を確認する。
- 条件・時間・比較を確認する。
- 残った候補について、前後との意味のつながりを確認する。
単語が一致しているかではなく、情報の構造が一致しているかを見ます。
練習問題を作る場合の誤答設計
良い誤答には、次の条件が必要です。
- 本文と同じ話題を扱っている
- 英文として自然である
- 正答と同程度の長さ・具体性である
- 左右の接続、述語、段落の役割、本文情報のいずれか一か所だけを変えている
- なぜ誤答かを文法・接続または本文根拠で説明できる
- 選択肢の語頭や文型が不自然にそろっていない
避けたい作り方
- すべてwhen、to、becauseなど同じ語で機械的に始める
- 正答だけが極端に長い、または具体的
- 誤答が本文の話題と無関係
- 文法的に不自然な英文を混ぜる
- 同じ誤り方を全選択肢で繰り返す
- 本文を読まなくても一般常識だけで消せる
空所の外まで含めれば誤りになるが、候補単体では自然な英文であることが理想です。誤答候補すべてをwhen、to、becauseなど同じ語で始める作り方は、語頭だけで分類できてしまい、実際の過去問に見られる候補の多様性も失います。
誤答設計の記録例
誤答A:程度変更
本文:一部の参加者に効果
誤答:すべての参加者に効果
誤答B:因果逆転
本文:睡眠不足が成績低下につながる
誤答:成績低下が睡眠不足を引き起こす
誤答C:本文外情報
本文:調査結果のみ
誤答:研究者が推奨していない政策を追加
誤答D:右端の接続不良
左側:意味・文法とも接続
右側:候補末尾と後続前置詞が重複
誤答E:段落の役割違い
空所:結果を述べる位置
誤答:原因を説明する節
この記録が作れない誤答は、消去根拠が弱い可能性があります。
解説では「違う」ではなく「どこが合わないか」を書く
誤答理由は、次のように具体化します。
不十分な説明:
本文に書かれていないため誤り。
より明確な説明:
本文は効果が「一部の参加者」に見られたと述べるが、この選択肢は対象を「すべての参加者」に広げている。
不十分な説明:
因果関係が違う。
より明確な説明:
本文ではAがBにつながったとされるが、この選択肢はBをAの原因としており、原因と結果が逆である。
この形式にすると、受験生は別の問題でも同じ誤りを見抜けるようになります。
現行空所の解説では、本文内容より先に次のように書きます。
空所の外に主語があり、候補には述語が必要である。この候補は名詞句なので文の述語を作れない。
候補の先頭は直前につながるが、候補末尾の前置詞と空所直後の前置詞が重なる。
空所後は具体例であり、ここには例を予告する表現が必要である。この候補は結論を示すため、段落の役割が合わない。
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出典・確認資料
- 岐阜大学前期英語・提供資料に基づく分析提供資料に基づくオリジナル解説。過去問本文・問題画像は転載していません。