英語 / Analysis
第7回 岐阜大学前期英語の過去問の使い方と学習計画
過去問は、古い年度から順番に一度ずつ解けばよいわけではありません。
岐阜大学の英語は11年間で形式が変化しているため、年度ごとの役割を決めて使う方が効果的です。2025・2026年度は現行形式の確認、2023・2024年度は文章量への対応、2019~2022年度は多様な読解形式、2016~2018年度は文法・語法の補強に向いています。
2015年度以前は現在と傾向が大きく異なるため、岐阜大学の現行対策として分析・演習する必要はありません。 古い年度まで広く解くより、2025・2026年度の空所を「なぜその部品しか入らないか」まで分析する方が優先です。
この記事では、年度の選び方、解き直し、弱点別対策、学習計画、2027年度への見通しをまとめます。
最初に現状を診断する
最初の演習では、正答率だけでなく次の項目を記録します。
| 記録項目 | 確認すること |
|---|---|
| セクション別正答数 | どの形式が弱いか |
| セクション別所要時間 | どこで時間を失うか |
| 根拠の有無 | 根拠を示して答えたか、推測したか |
| 誤答の種類 | 語彙、文法、照合、時間不足など |
| 見直し結果 | 見直しで直せた問題か |
偶然正解した問題も「根拠なし」として記録します。点数だけでは、再現性のある正答かどうかが分かりません。
年度別の役割
2025・2026年度:本番形式の基準
目的:
- 5セクション・50問に慣れる
- 空所補充40問+整序英作文10問という実態を把握する
- Section 3・4で6~7割を占める節補充系(長い句・節・文)を接続する
- 配点を意識した時間配分を決める
- Section 5まで集中力を維持する
- 現行形式での弱点を診断する
使い方:
- 最初はセクションごとに解いて形式を理解する。
- 次に年度全体を時間を計って解く。
- 各セクションの所要時間と正答率を比較する。
- 解き直しでは本文根拠を記録する。
同じ問題を覚えてしまった後でも、根拠説明と時間短縮の練習には利用できます。
2023・2024年度:文章量と題材の切り替え
目的:
- 複数文章を続けて読む
- 文脈空所と長文読解を組み合わせる
- 科学・教育・環境分野に慣れる
- 一つの問題に時間を使いすぎない練習をする
現行形式と完全に同じではありませんが、必要な読解力は近い年度です。
2019~2022年度:読解形式の幅を広げる
目的:
- 文挿入
- 人物・発言の対応
- 要約・題名
- 図表
- 複数の短文・中長文
- T/F/N系の内容照合
未知の形式が出ても、本文根拠へ戻って処理する力を付けます。
2022年度は公開版で本文の一部が削除されているため、利用できる問題を形式確認や部分演習に使います。
2016~2018年度:文法・語法の弱点確認
目的:
- 文法変形
- 語形変化
- 誤文指摘
- 会話文
- 文法・語法選択
- T/F/N
現在の形式と異なる問題もありますが、文構造や語法が弱い場合には有効です。
2015年度以前:現行対策では扱わない
問題構成が現行5セクションと離れ、直近の出題を予測する材料としての価値が低いためです。手元にあれば一般的な長文・文法演習には使えますが、岐阜大学の傾向分析のために新たに集めたり、学習計画へ組み込んだりする必要はありません。
過去問を解く3段階
第1段階:形式別演習
時間を厳しく設定せず、各問題の根拠を確認します。
- Section 1:品詞・語法を説明する
- Section 2:空所の幅と前後の接続を説明する
- Sections 3・4:単語・句・節・文を分類し、候補の両端と段落での役割を示す
- Section 5:骨格、語のまとまり、不要語の順に説明する
第2段階:時間を計る年度演習
年度全体を通して解きます。
見るのは総得点だけではありません。
- 前半で時間を使いすぎたか
- 根拠箇所を探すのに時間がかかったか
- Section 5を急いだか
- 題材の切り替えで集中が切れたか
第3段階:根拠を再現する解き直し
正答を覚えた状態でも、次の説明を自力で再現します。
- 本文のどこが根拠か
- 空所にはどの大きさの部品が必要か
- 正答候補の左右がどう接続するか
- 各誤答候補は文法・接続・段落の役割のどこが合わないか
説明できない場合は、正答番号を覚えただけです。
間違いを6種類に分類する
| 分類 | 原因 | 次に行う学習 |
|---|---|---|
| 語彙不足 | 語の意味・品詞が不明 | 語族・連語で記録 |
| 文法不足 | 文の骨格が取れない | 構文確認・整序演習 |
| 文脈不足 | 前後関係を見ない | 指示語・接続・反復語を確認 |
| 接続ミス | 候補の左側だけ見て右側を見落とす | 候補を挟んだ一続きで確認 |
| 役割判断ミス | 原因・結果・例・対比を取り違える | 空所の役割を一語で記録 |
| 時間不足 | 一問に固執、読み直し過多 | 保留ルールと時間記録 |
「読解力がない」とまとめず、原因を細かく分けることが重要です。
セクション別の弱点対策
Section 1が弱い場合
重点:
- 品詞
- 語形
- 動詞の型
- 前置詞
- 接続詞
- 可算・不可算
学習:
空所を解いた後、正答語だけでなく、空所に必要だった品詞と決め手を記録します。
Section 2が弱い場合
重点:
- 代名詞の指示先
- 接続関係
- 一般論と具体例
- 問題と解決
- 反復・言い換え
学習:
各段落の文を「主張」「理由」「例」「結果」「反論」「まとめ」に分類します。
Sections 3・4が弱い場合
重点:
- 単語、短い連語、句、節、文、見出しの区別
- 候補の左端と右端
- 主語・定形動詞・接続詞の数
- 原因、結果、例、対比、条件、まとめ
- 研究の目的、方法、結果、含意
学習:
各空所に「幅」「左右の決め手」「段落での役割」の3点を書きます。節補充系は2025年度の両Sectionと2026年度Section 3で各6問、2026年度Section 4で7問を占めるため、ここから重点的に解き直します。
Section 5が弱い場合
重点:
- 主語と述語
- 動詞の語法
- 節の境界
- 修飾関係
- 固定表現
- 不要語の機能
学習:
語を並べる前に、S、V、O、Cと節のまとまりを書きます。不要語を先に予想せず、完成後に余った語がなぜ使えないかを文法または構造で説明します。
復習ノートの標準形
年度・設問:
問題形式:
自分の解答:
正答:
空所の幅:単語/短い連語/句/節/文/見出し
本文根拠:
左右の決め手:
段落での役割:
根拠部分の日本語:
誤答理由:
原因分類:
次に復習する項目:
本文全体の逐語訳は不要です。正答に必要な範囲だけを、短い自然な日本語にします。
8週間で進める場合の例
学習期間に合わせて圧縮・延長できます。
1週目:形式把握
- 2025年度をセクション別に解く
- 各形式の解答手順を確認
- 正答率と所要時間を記録
2週目:現行形式の比較
- 2026年度をセクション別に解く
- 2025年度と共通する弱点を抽出
- 頻出語・連語を整理
3週目:短い空所補充
- 2023・2024年度の空所問題
- 品詞、語法、指示語、固定表現を記録
- Section 1・2の弱点を補う
4週目:長い句・節・文の空所
- 2025・2026年度のSections 3・4を再演習
- 候補の両端と定形動詞を確認
- 原因・結果・例・対比・条件・まとめに分類
5週目:多様な形式
- 2019~2021年度から文挿入・対応・要約を選ぶ
- 空所・挿入候補の前後接続を確認
6週目:文法・整序
- 2016~2018年度の文法・語法
- 2025・2026年度のSection 5を再演習
- 語形・動詞の型・節構造を補強
7週目:年度演習
- 2025または2026年度を通して解く
- セクション別の時間配分を調整
- 保留した問題の処理を確認
8週目:再現と最終確認
- 間違いの多かった形式を再演習
- 根拠説明を口頭または文章で再現
- 頻出語・因果・比較表現を確認
時間配分を決める原則
受験年度の試験時間を確認したうえで、自分の演習記録から決めます。全員に共通する固定分数を設定するより、次の原則を守る方が重要です。
- Section 1の一問で長時間止まらない
- Section 2は確実な空所から埋めて共有選択肢を減らす
- Section 3終了時点で残り時間を確認する
- 配点の大きいSections 4・5に時間を残す
- Section 3・4は候補の右端まで接続を確認する
- 見出し型空所は後続段落から逆算する
- 最後にNOT、EXCEPT、不要語の見落としを確認する
教材・模擬問題を作る場合
過去問に近づけるため、次の条件をそろえます。
Section 1
- 品詞・語法・意味を混ぜる
- 空所を文章全体に分散する
- 同じ文法項目を連続させない
Section 2
- 指示語、反復、因果、対比を根拠にする
- 前後両方を読まないと決まらない空所を含める
- 空所を前半へ集中させない
Sections 3・4
- 単語・短い連語と、長い句・節・文を混ぜる
- 長い補充を全体の6~7割程度にする
- 見出し・質問型や、研究の方法・結果を担う空所も入れる
- 誤答候補は左右のどちらかだけ合うもの、述語数が合わないもの、段落の役割が違うものを混ぜる
- すべての選択肢を同じ語頭で機械的に作らない
Section 5
- 文の骨格が一意に決まるようにする
- 不要語には明確な文法的理由を持たせる
- 完成後の英文が不自然にならないよう確認する
2027年度への見通し
以下は公式情報ではなく、過去11年と直近2年の共通形式からの予測です。
継続する可能性が高いもの
- 5セクション
- 各10問・計50問
- Section 1の1語空所
- Section 2の語句・文空所
- Sections 3・4の単語・句・節・文の混合空所
- Section 5の整序+不要語
題材として考えられる分野
- 健康・生命科学
- 学習・心理
- 環境・生態
- AI・メディア
- 大学・研究機関の社会的活動
ただし、特定テーマの予想より、空所の幅、候補の両端、研究目的・方法・結果・限界の区別を練習する方が再現性があります。
最終チェックリスト
知識
- 研究・結果・因果を表す頻出語を連語で理解している
- 品詞と語形を判断できる
- 動詞と前置詞の組合せを確認している
読解
- 空所が単語・句・節・文・見出しのどれか判断できる
- 候補の左右が両方つながるか確認できる
- 指示語の指示先を確認できる
- 原因・結果・例・対比・条件を区別できる
実戦
- セクション別の所要時間を把握している
- 迷った問題を保留する基準がある
- Sections 4・5に時間を残せる
- NOT、EXCEPT、不要語を見落とさない
まとめ
岐阜大学英語の過去問は、年度ごとの役割を決めて使うと効果が高まります。
- 2025・2026年度で現行形式を把握する
- Section 3・4の長い句・節・文を重点的に解き直す
- 2019~2022年度で設問形式の幅を広げる
- 2016~2018年度で文法・語法を補強する
- 2015年度以前は現行傾向の分析対象にしない
- 復習では正答番号ではなく、幅・左右の接続・段落の役割を残す
最も重要なのは、未知の英文でも「空所の幅→左右の継ぎ目→段落での役割」を同じ順番で再現できる状態にすることです。
前の記事:第6回 頻出語と連語
シリーズ一覧:岐阜大学前期英語・過去問11年分析シリーズ
出典・確認資料
- 岐阜大学前期英語・提供資料に基づく分析提供資料に基づくオリジナル解説。過去問本文・問題画像は転載していません。